果物はバナナのように飛ぶ

バナナマフィン型神話 https://fedibird.com/@simulfix

ReadItLaterプラグインでTikTokアプリからクリップしようとすると不発する

Obsidian - Connected Notes

Obsidian - Connected Notes

  • Dynalist Inc.
  • 仕事効率化
  • 無料
apps.apple.com

なんでかなと思って調べたら、TikTokアプリからシェアすると、元の投稿者の情報だけでなく、シェアしたユーザーの情報も含んだ短縮URLが発行されるかららしい。

なので自分がシェアしたページにアクセスすると、投稿者のコンテンツといっしょに自分のIDが表示されるわけだ。

https://vt.tiktok.com/〜

このvtから始まる URLがそれ。

じゃあこのvtをiOSショートカットなどでwwwに置き換えてやればいいかなと思ったがそれも違った。

https://www.tiktok.com/@ユーザーID/video/動画ID

というのが正式な(?) URLらしく、これを取得しないとObsidianのReadItLaterプラグインTikTokではなく、Nonreadable Article扱いでクリップしてしまう。

これを回避する方法がわからなくて結局webブラウザに貼り付けたあとObsidianを開いて放り込む、という面倒な方法をとっている。

どうせほぼTikTokをクリップしないからこれくらいは構わないんだけど。

仕様の変更でもあったのか、%videoDescription%の変数も機能していないっぽい。

あと%authorName%の変数は@を含んで取得される。

@はプロパティで扱えないらしく、そこで%authorName%を使ってるとリーディングビューでプロパティ自体が表示されなくなってしまう。@を消せば表示される。

インスタもそうだけど、簡単に投稿文を引っ張ってこれないのダルいなぁ (プラグインが悪いんじゃないです、念のため)。

2023-11-26 追記

iOSショートカットに「URLを展開」という短縮URLを展開してくれるコマンドを見つけた。

これを使うと元のURLが取得できる。自分で作らなくてもショートカットのギャラリーからインポートすればいい。

Expand URL

でもなんかやってみたらURLの後ろにゴミがついてるな……具体的には?以下。

https://www.tiktok.com/@ユーザーID/video/動画ID?_t=よくわからない14桁の文字列&_r=なんか数字

「t」とか「r」とかついてるけどなんだろう……秒数指定かと思ったけど長いな。まあいいか。

ただ、この状態でもReadItLaterプラグインは問題なく動作した。

どうしても気になる場合は「テキストを置換」で正規表現を使ってあれやこれやすれば、?以下を消去できる。

しかしそれをやっても共有したアカウントの情報がどこかに残ってるみたいで、あいかわらず投稿者だけでなく自分のアカウントも表示される。どういう仕組みなんだろう。

Obsidianの小ネタ (というか自分が出会した躓き)

デイリーノートに自動で前後の日付へのリンクを埋め込みたい

検索するとTemplaterを使ってる事例が多く目につく。一時期、自分もそれを真似てtp.date.nowがうんたらとやっていた。

たぶんそれには何かしら理由があるんだろう。でも自分としてはもっと簡単なやり方でいいや。

カレンダープラグインは必要。

こっちの方が圧倒的に楽だし、未来の日付のデイリーノートを作成してもちゃんと前後の日付のリンクができる。

「どうしても使うプラグインの数を最小限に抑えたい!」とかのこだわりがないならこれでいいと思う。個人的にカレンダーすら使わないのはストイックすぎるなと思うけれど、自由に使っていいのがObsidianなので。

ReadItLaterプラグインのExtend share menu

ONにしておきながら何なのかイマイチわかっていなかった。

これをONにしておくと共有シートからObsidianを選んで起動したときに、ReadItLaterプラグインを使って記事を作成するかが選べるようになる。

ただしObsidianが起動してないとたまに不発する。そこはAdvanced URIとお なじ。

次の画像の一番下を参照。

ウェブブラウザからこれを使うと、いちいちURLをコピーしてからReadItLaterのアクションを実行する必要がなくなる。

Remotely Saveで同期が止まる

フォルダやファイルの名前にそのWebDAVクラウドストレージで使えない文字が含まれていると自動的に同期がストップする。要するにObsidianの問題ではない。

OneDriveではこれ

" * : < > ? / \ |

Dropboxではこっち。

どちらも普通はファイルやフォルダにつけそうもない文字だけど、ReadItLaterなんかを無造作に使ってると、たまにタイトルにこういう文字を含んだ記事をクリップしている場合がある。

どうにかして自動で取り除けないもんかな。Linterとか使えばいいのか?

Obsidianプロパティで内部リンクを扱う

Obsidian - Connected Notes

Obsidian - Connected Notes

  • Dynalist Inc.
  • 仕事効率化
  • 無料
apps.apple.com

プロパティでは二重ブラケットだけでなく、その外にダブルクォーテーションもつけなきゃ内部リンクとして機能しない。

さっそく使いたいんだけど、毎回打つのはめんどくさい。

「じゃあ別に無理してプロパティに内部リンクを押しこまなくていいのでは?」←本当にそうですね…

言い忘れてましたが、例によってObsidian mobileの話です。

最初から各Templateの該当箇所に登録しておく手もあるけど、そうするといちいちカーソルを真ん中まで動かすのがだるい。

なのでTemplaterを使って超初歩的な解決を試みる。

"[[<% tp.file.cursor() %>]]"

これだけ。

このテンプレートを実行すると、カーソルを置いた箇所にダブルクォーテーションと二重ブラケットが挿入されて、さらにカーソルがブラケットの真ん中へ移動する。

逆にいうと初歩すぎてこういうのみんなあんまり書いてくれないイメージはある。

なんでこんなレベルの人間がObsidianなんてカスタマイズ性の高いツールを使ってるのか自分でも不思議です。巡り合わせとしか言いようがない。

話が逸れた。

あとはモバイルツールバーにでもTemplaterアクションを登録しておけばタップ一つでOK。

tp.file.cursor()の部分を、tp.file.selection()に変えて実行すれば、選択してる範囲をブラケットの中に入れられるけど、あとからVarious Complementsなどで補完したほうがよほど速いと思う。

本当はこれくらいなら、いくつかを組み合わせて一つのTemplaterアクションにすべきなんだけど、それは後々考えたり学んでからでいいか。

そのうちもっと便利なアクションかプラグインを誰かが考えてくれるだろうから一時しのぎのつもりでいい、志は低い。

パーカー・フィン『SMILE スマイル』(2022)

www.youtube.com

原題: Smile

run time: 115

あらすじ

 救急精神病棟で医師兼セラピストとして日夜激務に追われているローズ・コッター (ソシ―・ベーコン) はある日、教授がハンマーで自身を殴打するという惨たらしい自殺を目の前で見てしまった女子大学院生と面談する。大学院生いわく、いろいろな人間の顔をした「何か」が不気味に笑っているのが見え、そのせいで近い将来、自分の身に不幸なできごとが起こるに違いないのだという。ローズが「精神的に追い詰められているのでは」と指摘しても、「何もわかってない」と彼女は聞き入れない。

 その面談の途中、「何か」が見えてしまったらしい大学院生がひどく怯えだし、ローズは慌てて内線で応援を呼ぶのだが、振り返ると倒れていたはずの女性が立ち上がり、不気味に笑ったまま割れた花瓶の欠片で自らの喉を裂いてしまう。その日の夜からローズの身にもおかしなことが起こり始める。

感想

  • 『リング』フォーマットのホラー映画。途中まんまな箇所がある。

  • 猫が死にます。

  • 冒頭の大学院生との面談場面、ソファーが青、黄色い花が活けられた花瓶が割れて、ローズが飛びついた内線電話が赤と、忠実な信号機演出がされるので良くなると期待していたのだがいまいち不発だった。

  • 何度も物が割れる。4回くらいあったのではないか。特にそれがモチーフになっている感じはなかった。

  • 何度も電話やメッセージがくる。警備会社からの電話は怖くて良かったがあとは手数の少なさに見えてしまって不満。作劇に便利なんだろうな、スマホ

  • 中盤は完全に「精神病者との付き合い方」ムービーになる。周囲の人間からすれば当然の反応だと思うが、それで映画が面白くなるかというと別だと思う。

  • せっかく感染への対抗策 (『リング』とちがってもっと直接的・身体的) がわかったのだから、ではどうやってその対抗策を実行するかをロジカルに組めればもっとフレッシュな内容になったと思う。そこにきっちり「スマイル」要素も組み込めていれば…と簡単に思ってしまうが、言うは易しというやつだろうか。

  • かなりしっかりクリーチャーの姿が出てきてびっくりした。八尺ある落ち武者みたいでキモい。

Obsidianでアニメ感想ログを取るための試行錯誤

Obsidian - Connected Notes

Obsidian - Connected Notes

  • Dynalist Inc.
  • 仕事効率化
  • 無料
apps.apple.com

ここでの「感想ログ」はしっかりとした感想ではなく、その叩き台になるような脊髄反射的思いつきやひらめきなど。いわゆる実況ログです。

ちなみにプログラマーでもなんでもないので画期的な解決策等はありません。「英語でドキュメント読んでプラグインをそれなりに扱えるよ!頭が固いのでそんなに工夫はできないよ!」くらいのレベルの人間です。

なのでどちらかというと試行錯誤の形跡を残しておきたい意味合いが強い。

(世の中のObsidianユーザーでノウハウを公開してる方々は技術的に秀でている人が多くて、それらは大変ありがたく参考にさせていただいているものの、もう少し同じぐらいのレベルの人たちの話も聞けたらな〜と常々思っていたので、じゃあまず自分からやるか〜と)

①1話につき1ノートを作成する

長所
  • プロパティ (フロントマター) をスタッフ情報や評価などを入れておくと後でDataviewプラグインを使ってリストやテーブルにできる
短所
  • 1ページごとに独立しているため、ここに感想を記入すると見返そうとしたときに億劫・連続性が薄れる
    • MOCを整備したり、2Hop Link PlusやBreadcrumbsなどを使って遷移しやすくしても、4クールなどの長大な尺の作品の場合辛いものがある。

②Obsidian Memoを使う

長所
  • 独自のUIからデイリーノートの指定箇所に追記できるプラグインで、タグをつけてノートをつければ、後からでも簡単に絞り込んで感想を振り返れる
短所
  • UIが好みじゃない (PCからだとあまり気にならないけど)
  • タグで絞り込んだ結果を一発でコピーできるのはいいが、見た目そのままに日付降順でコピーされるので、ログを他のノートに独立させようとするときに不満
    • いちおうObsidianには簡単に行を入れ替えできる機能があるが…
    • PCからやる分にはデイリーノートに飛んでカット&ペーストなどすればいいのだが、自分がObsidianを触る時間のほんどがmobileからなので。
  • 徒然なるまま由無し事をメモするにはいいプラグインだが、「アニメ感想ログを取る」といった事前から用途がはっきりしているものをわざわざこのプラグインを使ってメモする必要は薄いのではないか

③QuickAddを使う

長所
  • Obsidian Memoが書き込めるのはデイリーノートの指定箇所だけだったが、これなら設定さえすれば指定したファイルの指定箇所に自由に追記していける
  • 作品ごとに感想ログを書き込むのを目的としたmdファイルを作成しておけば、後から振り返っても連続性が断たれない
短所
  • 慣れればなんてことないが、最初は設定にだいぶ戸惑う
  • 見ている作品が少ないならいいが、同時期にたくさん見ていると書き込む際にファイルを選択するのが大変になるかも
    • その場合、視聴する曜日ごとにコマンドを設定するなどして対策する必要がある。
      • コマンドは複製できるのでそんなに大変じゃないけど、コマンドが増えること自体がダルい
      • 毎日しっかり視聴できるならともかく、うっかり見過ごしてしまって後日視聴する場合には、ログを記入するファイルをその曜日のフォルダまで移動しなくてはならず、これはこれで一手間かかる (Another Quick Switherを使えば楽だけど、手数が増えるのは否めない)
  • 一気見したときなどの話数区切りはどうする? 手打ちで対応か?
    • ログを見返したときにH3でエピソードへのリンクを挿入が無難かな

暫定的な結論

欠点も多くあるが当面①+③でやっていく。もっといいやり方がある気もするが、これ以上考えてると視聴そのものが進まない…

QuickAddの作例

Obsidian mobileからも問題なく作れます。

フォルダとテンプレートの作成

どちらも「Commetary」にしましたが、自分でわかりやすく他のファイルと被らないならなんでもいいです。

心配性なので何に使うかは考えずルーティンとしてプロパティを入力しました。

テンプレートは後で指定するので先ほど作ったフォルダ (Commentary) でなく、自分のテンプレート保存フォルダに置いていて構いません。わたしは「Template」に入れています。

ただ、Commentaryフォルダに1つもファイルがないとあとでエラーが出てしまうのでなんか適当に入れておきましょう。

また「フォルダなんて使いたくないよ〜」という人はタグでも指定できます。その場合は感想ログ用にタグを決めておきましょう。

QuickAddの設定

コミュニティプラグインからQuickAddをインストールし有効化、設定画面に入ります

「Name」をタップして名前を入力。

「Template」をタップするとプルダウンメニューが出てくるので「Capture」を選択、続いて「Add Choice」をタップ。

すると上に「Commentary」が追加されるので、その横の歯車アイコンをタップ。

「Filename」の下をタップし「Commetary/」と記入します。「/」でファイルではなくフォルダを指定できます。

先ほども述べたようにタグもCaptureの対象にできます。その場合は「#commentary」のように入力してください。

その下の「Create file if it doesn't exist」を有効に。入力した名前のファイルが無いときに自動で作成してくれます。 さらにその下の「Create file with given tempalte.」を有効にして、先ほど作成したテンプレートを指定。

「Insert after」を有効にします。「この下に追記するよ」というわけですね。

自分は日付のリンクを見出しにして、その下へ追記していくようにしています。

QuickAddで使用できるFormat Syntaxは以下から確認できます。

同様に「Create line if not found」も有効に。これによって日付が変わると自動で見出しが挿入されます。

「Open」はオフにします。追記するたびにそのファイルを開かれると鬱陶しいし意味がないので。

「Capture format」は追記するためにミニテンプレートのようなものです。画像の場合、箇条書きで「(追記した時間) (内容)」の順で記されます。タグなども含められます。

最初のQuickAdd設定画面まで戻り、「Commentary」横の雷マークをONにします。これでコマンドパレットに登録されました。

動作確認

コマンドパレットから「QuickAdd: Commentaryを選択します。

最初はファイルの選択画面です。スクロールで探すか、文字を入力するとファイルが絞られます。先ほど設定したので、ファイルがない場合には新規作成されます (このとき、指定したフォルダに1つもファイルがないとエラーを吐くみたいです)。

ファイル名の頭にマイクの絵文字がついているのはすぐに感想ログファイルだとわかるようにするためです (絵文字をファイル名に使っているとDropboxでの同期に支障をきたすらしいので使う方はご注意を)。

無事できました。

他のプラグインも使ってもうちょっと便利に

Commanderでボタンをつける

上の画像、タブバーにTVマークが見えると思いますが、あれはCommanderプラグインでつけたボタンです。タップするとどのノートにいても「QuickAdd: Commentary」が一発で実行されます。

Obsidian mobileはホットキーが使えないのでこれで代用します。

Advanced URIiOSショートカットを使ってホーム画面から追記

iOSの方はショートカットを使ってホーム画面からでも「QuickAdd: Commentary」を実行できます。

Advanced URIプラグインをインストール、コマンドパレットから「Advanced URI: copy URI for command」を実行、いちばん上の「Don't specify a file」を選び、さらに「QuickAdd: Commentary」を選択。

すると「クリップボードにコピーしたよ!」とお知らせが出るので、次にiOSショートカットアプリを開きショートカットを新規作成。

「Appおよびアクションの検索」窓から「URLを開く」を検索し選択。

「を開く」の前の空欄をタップして先ほどAdvanced URIがコピーしてくれたものをそのままペースト。あとはこのショートカットをホーム画面に置くだけ。

追記したいときにこれをタップするとObsidianが立ち上がりQuickAddが実行されます (QuickAdd、Obsidianを立ち上げずに追記するのはどうやら無理みたい?です)

まとめ

もっといいやり方がある気がするけど自分の頭では思いつかない。javascriptをちゃんと扱えれば違うのかなぁ。

チョン・ジヨン『死を告げる女』(2022)

原題: 앵커

英題: Anchor

run time: 111

あらすじ

とあるテレビ局の21時台ニュースのキャスターを任されているチョン・セラ (チョン・ウヒ) のもとに、謎の女から「殺されるかもしれないから助けてくれ。仮に自分が死んだとしてもあなたのファンなので死に様を取材してもらえるなら本望」というおかしな電話がかかってくる。

いたずらだと判断して生放送後に帰宅するのだがセラの母親から「いつまで今のポジションに甘んじてるつもりなのか。取材ができる真のキャスターとして認められたいなら今からでも電話相手の家に行ってこい」というようなことを言われ深夜にも関わらず向かうことにする (母親はセラの仕事ぶりにいちいち干渉してくる)。

車を飛ばしてやってきた家に一歩踏み入れると中は水浸しで、浴室ではこどもが、クローゼットの中では電話をしてきた張本人であるユン・ミソと思しき女性が首を吊って死んでいた。

いち早く事件を発見できたのを足がかりに局内での地位を盤石なものにしようと努めるセラだが、次第に幻覚に苛まれ始める。

感想(ネタバレあり)

  • 『折れた矢』などの監督とは別人。こちらは1984年生まれの女性。*1
  • オチは見ていればすぐ読める。読めるからどうだという話だけど。劇中でネタが割れてからも30分あるのでもう少しタイトにまとめてほしかった。
  • サスペンスかと思って見てたらホラーになったりと、ジャンルが不安定なのは韓国映画らしいというか現代映画らしいというか。
  • 見終わってみればそこかしこが女性映画だが、エンタメ的な要請に振り回されすぎてちょっと散漫に感じる。でも、このあたりは今どきどんな映画でも難しそうだ。
  • 最初の事件が結果的にきっかけくらいの機能しかしていないのはマイナスポイントではないか。
  • 職業にニュースキャスターが選ばれている理由は察せられるがもう一声ほしい。もう少し絞殺にはっきり意味を持たせるとか…
  • 人物がときおり真っ黒なシルエットとして映されたり、不自然な控室*2催眠療法時の野原、先に記した水浸しの家などはわりと好もしく感じられたので、この人は辻褄合わせが必要ないものを撮った方がいいんじゃないだろうか。
    • でも本人としては社会派でやっていきたいのかな。
    • 水浸しはラストへの (演出的な意味での)布石なのだろうが、やはりもう少しうまいことモチーフを連関させてくれればなといったところ。
  • 仮に精神疾患の原因を社会に帰すとしても、劇中でそのような人間を犯罪者として出していいのかという問題がある。とうぜん制作側も様々に考えた末の結果だろうが…

*1:https://movie.daum.net/person/main?personId=138034

*2:最初は黒沢清的な異空間かと思った。「黒沢清みたいだね〜」と言ったところで「この小説カフカっぽいよね〜」ぐらい意味のない指摘かもしれない

人間を信じるって難しい - 『Aマッソのがんばれ!奥様ッソ』『SIX HACK』を見た

今さら『奥様ッソ』を見た。

U-NEXTで見れます(2023-10現在)

U-NEXTのリンクって埋め込んでもなんでサムネどころかタイトルすら出ないんだろう?

それはともかく『奥様ッソ』の話だ。以下では内容にふれているのでご了承願いたい。

わたしはこの作品がモキュメンタリーだと知ってから見た。

『奥様ッソ』は後半からあきらかに「作り物度」があがる。

前半は金田朋子金田朋子力(ぢから)でもって次々にお節介を焼いていくせいで比較的ごまかされていたAマッソの不自然さがどんどん際立っていく。

そもそも前半の時点からVTRの不自然な箇所への言及は避けるしエピソードトークも変なものばかりだった*1のだが、場をかき乱し続ける金田にツッコミを入れることでAマッソはギリギリ視聴者と目線を共有していた (またはそのように錯覚させられていた)。

けれど、後半の田舎移住編になって不自然さがもはや画面ぜんたいから隠せなくなってもAマッソは態度を変えない。*2

なのでどんどんAマッソの2人が不気味に思えてくる。

円滑な番組の進行を妨げない程度にツッコミしやすそうなところにだけツッコミを入れ、エピソードトークはより奇天烈になったり嘘かホントかわからなくなっていく。

それにはリポーターが金田よりは比較的常識人な紺野ぶるまに変更になったことも手伝っている (紺野は金田と違ってあきらかに目の前の異常さに気づいてる)。

「テレビもネットも許されていない、田舎で大麻を育てているような宗教カルトが奉納の儀という大事な日にテレビクルーを呼ぶのは不自然だ」「過去のモキュメンタリーとくらべて目新しさがない」といった感想は、おそらく製作側にとっては織り込み済みだろう。

『奥様ッソ』は「VTRを芸人がスタジオで見ている」というバラエティのフォーマットにたいする批評なのであり、ホラーとしての新奇性はおそらく目指されていない。

異常な状況をありがちなバラエティ番組的仕草で処理することのグロテスクさに気づいてほしいわけで、だからこそ後半は設定も登場人物の演技も臭くなっていくのだろう。親切だね。

SIX HACKも見た

で、同じプロデューサーが関わっているという『SIX HACK』も見た。これは今のところYouTubeでも見れる。

意識高い系を対象としたライフハック番組の体裁をとったおちょくり的内容なのだが、Franz K Endoが担当したAIを使用した映像もあいまって笑いをこえて不安がこみあげてくる。第3回までは地上波で流したとのことだし。

あきらかにふざけている箇所は目につくが、この番組で揶揄の対象にしている人たちは自分に都合のいい部分を継ぎ接ぎして自分だけの最強の自説を構築しているのだから、そこで「ウッソでーす」「冗談でーす」とおどけてみせてもあんまり意味がない気がする。

もしくは製作陣は人間を信じているのかもしれない。「きっとわかってくれるはずだ」と。

そうだとしたらすごいことだ。この番組はネットにどっぷりな人たちがつくってるのに。*3

個人的にはここ10年くらいのインターネット経験によってそこまで人間を信頼することはできない。かなしいね。

いま配信でいっきに見るぶんには問題ないと思うけれど、放送当時はその第3回で打ち切りになってその2週間後に「どうして『SIX HACK』はこうなったのか」を検証した再現ドラマをネットで出した流れだったそうだ。正直この仕掛けはあんまり上品ではない。*4

たしかにそこにも批評性は読み取れる。この検証映像そのものがカバーストーリーであり、テレビよりは自由だと考えられがちなネットも実は変わらないんだよ、とか。いろいろどうにでも考えられる。

ただ、前述したことにも関係するけれど、世の中の人たちはあるコンテンツに最後まで付き合ってくれる物好きばかりではない。

テレビで、ネットで、なんとなく途中だけ目にしてそれきりなんてよくあることだろう。いちいちおしまいまで見て制作側の意図まで追ってくれるわけではない。

別に意識高い系やスピリチュアルな方へ傾いてる人たちだけでなくとも、多くの人が好きなように設定を付与したり無視したりしてアニメやマンガの2次創作をしてるではないか。それでときおり異常なくらい揉めている。

やっぱり最終的には人間を信じるかどうかの話になるのかもしれない。

こういったモキュメンタリーをやるなとは思わない (見栄ではなく本当に思っていない)けれど、「うそはうそであると」わかる人たち向けのコンテンツだよね〜と開き直るのもなんだか違う気がする。番組は必ずしも視聴者を選べるわけではない。

わたしはあんまり創作物を摂取する際に倫理的な葛藤を覚えないんだけど、『SIX HACK』は久しぶりそこで苦しむはめになった。そういう意味では力のある作品なのだろう。

*1:わたしは「エピソードトークは盛るもの」という認識があったため嘘っぽくてもスルーしてしまっていた、敗北感…

*2:もしくは態度を変えてる様子はすべて編集でカットされている

*3:これは本当にあんまり関係ないけれど、ユースケは休みの日ネトゲばかりしてるらしい

*4:打ち切りが本当だとしても2週間で撮れる映像とは思えないので最低でも元から用意していた映像を再編集したのだろう。真相がどうかはわからないし、ダ・ヴィンチ・恐山や樋口恭介のSNS上での発言もそれ自体が仕掛けかもしれないのだからとくに何かを裏付けるものでもない。メディアって不透明で権威的で恐ろしいな〜と改めて思うだけだ。